今日は、カフェの展示品の搬入の日でもあったので、ようやく焚くことのできた染付などをついでに届けました。さて、句会です。
今年は能登半島の大地震もありましたので、さすがに関連の句も多かったです。立春も間近になりましたので春の句も散見しました。さて、高得点句は6点、凄い。
独楽打ちて紐の先より夢放つ くの一
「夢放つ」がちょっと言い過ぎではという意見(主に私)もありました。しかし。新年の遊びであるから新しい年への抱負や期待のこもる心持を「夢」と表現しているのだろうというご意見もあり、なるほどと思いました。
折口信夫も子供の遊びには古い神事の名残がうかがえると言っていました。独楽をまわし地を打って新しい年の吉事を祈念する、というのも深い読みだとおもいました。
次は3点句
凍星や大猩々(ゴリラとルビあり)の孤高に憧れり 東出
ゴリラと凍てる星、面白い取り合わせですし、孤高の気配がもうそれだけで感じられます。孤独ではなく孤高なのだと作者は強調していらっしゃいましたが、冬の夜空に輝く星との取り合わせは、それに成功しているとおもいました。むしろわざわざ「孤高」と言い足す必要もないくらいじゃないかな。という気もします。
人寄りてやがて無口に虎落笛 井上
人が集まれば震災ことを話題にするが、まだまだ災害の傷跡も生々しい状態ですから、やがてみな黙してしまう。その沈黙の間に虎落笛が吹き抜ける。わかります。
焼き林檎主人公すぐ死ぬ話 橋本
薪ストーブで焼いた焼き林檎食べたい。
大寒の厨の窓に鳥の影 小林
窓に鳥影が走ることは特に珍しい事でもないかもしれませんが、一瞬の光と影の動きに大寒の季節の空気感が感じられます。
厨という文字からも、昔風なちょっと寒い台所の風景のような、印象を受けます。
福笑い毀てる眉は上弦の月 松田
遥か上方に眉があったんですって。ハハハ。
春の宵絵の具十色の重ね色 くの一
十色も重ねたらかなり暗いというか。黒いでしょうね。春の宵闇の暗さになにかおどろおどろしい雰囲気さえ感じられます。春宵価千金といいますが、逆に、こんなとらえ方もあるのか、と驚かされます。
さて、このあたりでお茶にしましょうか。
初めに香ばしい焙じたての玄米茶をいただいて次は、台湾茶に主菓子があったんですけど写真を撮る前に食べちゃって、そのあと御覧の通り水仙のお干菓子。
皆美味しかったです。
続けましょう。
あえかなる風花に置く方丈記 井上
方丈記にも災害の記述がたくさんあります。今も昔も日本列島は災害が多いのだな、とつくづく思わされます。作者も、儚く美しい風花と災害の記録でもある方丈記をあえて取り合わせたとのことでした。
一月の甘くて苦き能登の塩 中井
古来からの製塩方でつくられた能登の塩は美味しいですが、この一月の塩の味は、ひとしお苦い。震災について声高に何か言うわけではないけれど、抑えた表現に思いの深さが偲ばれます。
書いている時間が長くなって時間切れみたいですので、いったん終わります。