とちの木の実

俳誌に連載中のエッセーと書評

2019-01-01から1年間の記事一覧

滝川直弘句集「木耳」 句集名に感じ入ってしまった。これと比べたらロブーグリエの「消しゴム」ですら、ひんやりと徒労感のただよう抒情の影が揺曳している、といえるでしょう。内包する世界への手がかりの見当たらない、絶壁の如く立ちはだかる「木耳」の存…

蛇 石川県の一億三千年まえの地層から、蛇の祖先の化石が発見されたそうです。それには小さな手足があり、当然、そのための遺伝子があります。手足の進化の遺伝情報因子は、魚の鰭から、昆虫類,哺乳類、そして私達まで、ちゃんと保存されています。 しかし…

末期の曲 二月の光は、まだ春の生命力の猥雑さを知らないだけ、透き通ってみえる。その中を、横に流れ、吹きあがり、風花は、落ちてゆくのが楽しいかのよう降りしきる。 このところ、終活の一環として、死ぬときに聞きたい音楽を編集している。特に詳しいわ…

句集「青花帖」に

「青花帖」に御批評を賜りましたので御礼まで。「岳」は宮坂静生主宰、長野県松本市から発行されている俳誌です。一月号と五月号とにどもとりあげていただいてありがとうございます。五月号では句集縦横のコーナーに清水美智子氏の御批評をいただきました。…