とちの木の実

俳誌に連載中のエッセーと書評

Mus'ee句会12月

今日のお菓子の銘は御覧の通りクリスマスツリーですね!このあと御干菓子と急須に焙じ茶

句会は当季、6句出句、5句選 です。

ばらけてしまって最高点が2点でした

 

小春日の水底に飼ふ空の色  ともこ

 

小春日の空を水底に飼う、詩的ですね。ただ映っているというより気持ちが通う感じがします。小春日の優しい色のそらだったのでしょう。

 

石蕗の花土偶に雲母(気らら)のこりをり  おるか

 

土偶には仕上げに雲母を刷いているものがあります。縄文の人々は、心を込めて作ったのでしょう。

 

 

潟昏れて水尾をも引かず鴨の陣  ともこ

 

干潟の黄昏に影絵になってじっと動かない鴨の群れ、印象鮮明。一枚の絵のような光景です。

 

極月や媼ら踊れコーヒールンバ  恭子

 

ローリングトゥエンティ―ズみたい。終末の前の極月に狂騒のルンバ!いいですね!

パリのアメリカ人達が、フィッツジェラルドがいて,マレーネ・ディートリッヒがいた20年代。ジャズが流れて。大戦の影を予感しつつヨーロッパ、アメリカばかりでなく上海や東京でも人々は踊っていた。味のある時代ですね。

 

東京の矩形の空に霙ふる  forgettmenot

 

「都会に雨はしめやかに降る」の、ランボーの言葉を思い出させてくれる一句です。ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴」にある「都に雨の降る如くわが心にも雨ぞ降る」の冒頭、ランボーの言葉として前書きされてましたね・

都会の哀愁はランボーヴェルレーヌの時代とあまりかわらないのかな。作者には今回

 

粉雪舞ふエリーザベトの白き肩  forgettmenot

 

という句もありました。もちろんシシイの愛称で親しまれるオーストリアハンガリーの皇后エリーザベトですね。写真で見ても本当にお美しい方でいらっしゃいますね。デコルテに映える白い肩…ちょっと寒そう。ヴィスコンティの映画「ルードウィヒ」では、エリーザベト役はロミー・シュナイダーだったかな。ハプスブルグ家の最後の残照。ああ、滅びゆくものは美しい!

 

他に、驚いた句は、

 

征矢のごと雀撃ちたる小鷹の眼  ともこ

 

庭にいた雀を小鷹が襲って押さえつけ、作者の目の前で翼をむしり取ったんですって!

そんなこと、本当に目撃しちゃったなんて!すごい。

 

飛竜頭にぎんなん二つ冬至の日  恭子

 

フフ、ささやかだけど嬉しい日常の一こま。でも大切ですよね、こういうちょっとした喜ばしさって。

おだやかな光景から一転。同じ作者に

ポインセチアみるくここあをふきこぼし  恭子

 

という句もあります。心のなかに、たぎりたち、吹きこぼれる何かを抱いていらっしゃるのですね。ポインセチアというとんがった花との取り合わせが、それを強調しています。

 

この一年九谷焼美術館のカフェで特別なお茶とお菓子をいただきながら月に一度の句会を楽しんでまいりました。来年も元気で集まれますように!